ホーム > 家具屋のつぶやき > 家具の地震対策とは?転倒を防ぐ固定方法と寝室での置き場所選びの注意点
2026年08月29日
ブログ大きな家具は、地震で凶器になります。背の高い棚、重いチェスト、寝室のタンス。倒れれば人を挟み、避難路をふさぐ。だから固定と配置が命を守ります。まずここを押さえてください。
「うちの棚、突っ張り棒だけで足りるの?」「寝室のタンス、本当にこの位置でいい?」「賃貸だから壁に穴を開けられない、どうしよう」。ショールームでも、こう小声で聞かれることが増えました。地震の映像を見た直後ほど、みなさん真剣です。
家具の転倒対策は、実は「どの器具を買うか」より「どこに何を置くか」で結果が変わります。器具選びに迷う理由、寝室と避難動線を優先する考え方、そして固定と配置をどう組み合わせるか。この記事を読み終える頃には、自宅のどの家具から手をつければいいか、自分で順番を決められるはずです。
対策を全部屋いっぺんに、と考えると手が止まります。よくあるのが、器具を大量に買って満足し、肝心の寝室が後回しになるケース。順番を間違えないことが大切です。
正直なところ、対策の効果は場所で大きく変わります。人が長くとどまる寝室、そして地震の後に必ず通る廊下や玄関までの動線。ここにある背の高い家具から手をつけてください。
内閣府や消防庁の啓発でも、就寝中は身を守る動作が取れないため、寝室の家具固定が繰り返し呼びかけられています。過去の大きな地震では、けがの原因の3割から5割が家具の転倒・落下・移動によるものだったという調査もあります。夜中の揺れで、頭の上にタンスが倒れてくる。想像するだけで、対策の優先順位が見えてくるはずです。
ショールームでベッドを選ぶお客様に、「枕元に背の高い物、置いていませんか」と伺うことがあります。ハッとした顔をされる方が、実は少なくありません。以前、寝室のレイアウトをご相談いただいた方は、ベッドの真横に大きな書棚を置いていました。図に描いてお見せすると、「これは危ないですね」と、その場で配置を組み直すことに。器具の話をする前に、まず一枚の間取り図を広げる。それだけで見えてくる危険があります。
固定と同じくらい、置き方が効きます。基本は、背の高い家具の「倒れる先」に人や通り道が来ないようにすること。
寝室なら、タンスやチェストはベッドの頭側を避け、足側や壁の少ない面へ。倒れても布団に人がいる位置に落ちてこない向きを選びます。廊下や玄関前には、背の高い家具をそもそも置かない。倒れれば避難路をふさぎ、割れたガラスが素足を狙います。
ケースによりますが、寝室のタンスは思い切って別室へ移すのが一番確実、という結論になることもあります。器具で固定するより、置き場所を変えるほうが早い。そういう割り切りも選択肢です。
すべてを固定しようとすると疲れます。判断基準はシンプルです。
背が高く重い家具で、寝室や動線にあり、動かせないもの。これは最優先で固定します。逆に、軽くて低い家具、あるいは別室へ移せる家具なら、無理に固定せず配置変更で済ませる。この線引きをすると、手をつける順番が自然に決まります。
一般に、高さが幅の3倍を超えるような縦長の家具は倒れやすいと言われます。背の高い本棚や食器棚、冷蔵庫の上の物置き。こうした「縦長・重い・上が重い」家具ほど、優先度を上げてください。
正直に言えば、我が家の家具を一度に全部リストにすると、気が滅入ります。だからこそ順番です。まず寝室、次に動線、そのあとリビングやキッチンへ。一部屋ずつ、一台ずつでいい。完璧を目指して手が止まるより、危険度の高い一台を今日固定するほうが、はるかに家族を守ります。
置き場所を決めたら、次は固定です。ここで大事なのは、器具を一種類で完結させないこと。複数を組み合わせて、はじめて実用的な強さになります。
対策器具にはそれぞれ得手不得手があります。公平に見ておきましょう。
L型金具は、壁の下地にネジで留める方式。もっとも固定力が高く、繰り返しの揺れにも強い。ただし壁に穴が開き、下地がない場所には効きません。
突っ張り棒(ポール式)は、家具と天井の間で突っ張る方式。穴を開けずに済むのが利点ですが、単独では効果が限定的とされます。天井が弱いと突き抜けることもある。
粘着マットやストッパーは、家具の下に敷いたり脚に貼ったりして滑りと転倒を抑えるもの。手軽ですが、これも単独では心もとない。
実は、公的な実験でも「突っ張り棒+粘着マット」の併用は、L型金具に近い効果が確認されています。一種類で決めず、組み合わせる。ここが器具選びの核心です。
「壁に穴を開けられない」。ショールームで一番多い相談がこれです。
賃貸や、下地の入っていない壁の場合。L型金具は使えないので、突っ張り棒と粘着ストッパーの併用が現実解になります。天井側にも板を渡して荷重を分散すると、より安定します。
持ち家で下地があるなら、L型金具を第一候補に。壁の下地は、下地探し器やピンで簡単に確認できます。まずは我が家の壁がどちらか、そこから逆算して器具を選んでください。条件を無視して強力な金具を買っても、留める場所がなければ意味がありません。
見落とされがちですが、器具を使わずにできる対策があります。重心を下げることです。
家具の中身は、重い物を下段へ。食器棚なら重い皿や鍋を下に、軽いグラスを上に。本棚も、大判の重い本を下段に集める。上が軽くなるほど、家具は倒れにくくなります。
観音開きの扉には、揺れで勝手に開かない耐震ラッチを。中身の飛び出しは、それ自体が二次被害になります。食器がまとめて床に落ちれば、割れたかけらが避難の妨げになる。ガラス扉には飛散防止フィルムを貼っておくと、割れても破片が飛びにくい。
キャスター付きの家具も、実は見落とされがちです。ロックをかけていても、強い揺れでは動くことがあります。移動して人にぶつかる、扉の前をふさぐ。可能ならストッパーを噛ませて、床から浮かせない工夫をしておくと安心です。
正直、地味な対策です。派手さはありません。でも、器具の固定とこの重心対策を重ねると、体感できるほど家具は安定します。微差の積み重ねが、いざという時に効いてきます。
A1. 単独では不十分とされます。粘着マットやストッパーと併用してください。2種類の組み合わせで、L型金具に近い効果が期待できます。
A2. 突っ張り棒と粘着ストッパーの併用が現実解です。穴を開けずに設置でき、天井側に板を渡すと安定性がさらに上がります。
A3. 寝室と避難動線にある背の高い家具が最優先です。眠る場所と逃げ道は命に直結します。次に食器棚や本棚へ広げてください。
A4. はい。倒れる先に人や通路が来ない配置が基本です。寝室のタンスはベッドの頭側を避け、可能なら別室へ移すのが最も確実です。
A5. 固定力はL型金具が上です。ただし壁の下地とネジ穴が必要。下地がない賃貸では突っ張り棒+マットの併用で補います。
A6. 耐震ラッチで扉のロックを、ガラスには飛散防止フィルムを。重い皿や鍋は下段へ収め、重心を下げると効果が高まります。
A7. 粘着マットや両面テープは劣化します。一般に数年での点検・交換が目安です。年に一度、緩みや剥がれを確認してください。
A8. 背が低く重心の低いもの、扉にラッチが付くものが安心です。高さが幅の3倍を超える縦長家具は、固定前提で選んでください。
まずは寝室を見回してください。枕元に、背の高い家具はありませんか。その一台から、順番に守っていきましょう。
背の高い家具の固定に不安がある方、これから買い替える家具を安全な形で選びたい方。ぜひ一度、実物を見ながら考えてみてください。
家具のフクタケのショールームでは、重心の低い設計の家具や、扉にラッチの付いた収納など、暮らしの安全に配慮した品を実際に確かめられます。倒れにくい家具とは何か、置き場所も含めてご相談ください。カタログの数字だけでは分からない、重さや安定感を手で確かめる。その一歩が、いざという時のご家族を守ります。
家具選びで後悔しないためには、価格や見た目だけでなく、素材や構造、耐久性、修理のしやすさ、暮らしとの相性まで含めて考えることが大切です。個別の商品を比べても決めきれない方は、まず家具選びの判断基準を全体から整理してみましょう。
▶ 「後悔しない家具選びの理由と構造整理|価格ではなく価値基準で考える全体像」を読む
価格やブランドに左右されず、自分にとっての「良い家具」を考えます。
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睡眠の質と身体への相性を基準に、寝具の選び方を整理します。
価格や品質の背景にある、家具業界の仕組みを解説します。
価格だけでは分からない品質や構造、身体との相性まで、長く使うことを前提に家具選びをお手伝いします。気になる家具がある方も、何を選べばよいか分からない方も、お気軽にご相談ください。
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