ホーム > 家具屋のつぶやき > 食器棚のサイズはどう選ぶ?収納量と設置スペースと動線で決める測り方
2026年08月28日
ブログ食器棚のサイズは「置ける幅」から決めてはいけません。まず測るのは収納する量です。次に設置スペース。そして家電の置き場と、扉を開けたときの動線。この順番を守ると失敗しません。逆にすると必ず後悔します。
ショールームでいちばん多いのが、この相談です。「今より少し大きめでいいですよね?」「レンジは上に置けますか?」「炊飯器の蒸気ってどうすれば?」。頭の中で疑問が渦を巻いている状態。分かります。食器棚は数年に一度しか買わない上に、キッチンは寸法の制約が多い場所ですから。
この記事では、なぜ食器棚のサイズ選びで迷うのかを整理し、収納量・設置幅・家電スペース・動線という四つの軸で、あなた自身が判断できる状態を目指します。答えを一つに決めるのではなく、あなたの台所に合う一台を見つける物差しを渡します。
最初にやるのは、いま持っている食器を全部出して量ることです。面倒ですが、ここを飛ばすと必ず入りきりません。大皿は縦に立てるのか平積みか。マグカップは何個か。来客用の重箱や土鍋のように、大きくて使用頻度の低い物こそ場所を食います。
正直なところ、多くの方が収納量を実際より少なく見積もります。「今のがパンパンだから、同じくらいでいい」と考えがちですが、パンパンということは足りていない証拠。目安として、今の収納量の1.2倍を確保しておくと、増える食器や引き出物にも対応できます。
ショールームでも、扉を開けて棚板の枚数と可動範囲を必ず確認していただきます。「あ、この段、高さが変えられるんですね」と気づかれる方が多い。棚板が細かく動くほど、デッドスペースは減ります。逆に固定棚が多いと、背の高いグラスやワインボトルを入れた瞬間に、上の一段が丸ごと死にます。
数える前に、食器を「毎日使う」「週に数回」「年に数回」の三つに分けておくのもおすすめです。毎日使う物は取り出しやすい中段へ、年に数回の重箱や来客用は最上段や最下段へ。この仕分けができていると、必要な棚の枚数と段の高さが自然に見えてきます。
設置場所は、床の幅だけでなく三か所を測ります。床の幅、そして腰高あたりの幅、さらに天井近くの幅。壁が微妙に傾いていたり、幅木や回り縁が出ていたりして、上下で数センチ違うことは珍しくありません。実は、この数センチで「入らなかった」という連絡をいただくことがあります。
高さは天井までの余裕を見ます。一般的な食器棚は高さ180cm前後と200cm前後。天井に近い上置きタイプは収納力が上がりますが、地震時の安全性を考えると、天井との間に突っ張りや固定金具のスペースを残す設計が安心です。搬入経路の幅と、玄関・廊下の曲がり角も忘れずに。組み立て式でなければ、ここで詰みます。実は、入り口は通っても廊下の直角部分で回せず、返品になった例もあります。搬入経路は最も狭い一点で決まると考えてください。
家電収納は幅・高さ・蒸気の三点で見ます。電子レンジは幅50cm前後、両側に放熱の隙間が要ります。オーブンレンジなら奥行きも増えるため、天板の奥行きは45cmは欲しいところ。炊飯器やケトルは蒸気が出るので、スライドして手前に引き出せる棚(ムーブ棚)があると、扉や棚板が湿気で傷むのを防げます。
よくあるのが、家電を置いたら上の棚が使えなくなるパターン。レンジの上に十分な高さがないと、扉が半分しか開かない。ケースによりますが、家電スペースは「今の家電の実寸+左右各2cm・上5cm」を最低ラインとして考えると、買い替えにも対応しやすくなります。
閉じた寸法で合っても、開けた瞬間に破綻することがあります。開き扉は手前に約30〜40cm張り出す。引き出しは全開で40cm前後出る。その状態で、人が通れて、しゃがんで物を出せるか。
通路幅は一般に、一人が通るなら90cm、二人がすれ違うなら120cmが目安とされます。キッチンで冷蔵庫の扉、食洗機、シンク下の扉が同時に開く場面を想像してください。ここで引き戸タイプを選ぶと張り出しがゼロになり、狭い台所でも動線が生きます。「引き戸って、こんなに違うんですね」と、実際に開け閉めして初めて納得される方は多いです。
大きさで迷って比較検討された方が、最後に見るポイントはだいたい共通しています。一つ目は、耐震。食器棚は重量物で、消防庁も家具の固定を繰り返し呼びかけています。転倒防止金具が付けられる構造か、上下分割で重心が低いかを確認されます。
二つ目は、可変性。棚板が細かく動くか、家電スペースの高さを後から変えられるか。三つ目が、質感の経年です。安価な化粧板は数年で角が剥がれることがある一方、無垢や上質な突板は使い込むほど馴染みます。長く使う前提なら、ここを妥協しない方が結果的に安くつく、という判断に落ち着く方が多い印象です。他社の製品と並べて比べても、この三点は共通の物差しになります。
正解は一つではありません。共働きで作り置きが多い家庭は、大型レンジと保存容器のための収納が要ります。来客が多い家は、来客用食器のための余白が必要。小さなお子さんがいれば、割れ物を上段に、日常使いを下段にという配置で高さが決まります。
高齢のご家族がいるなら、よく使う物を腰から目の高さ(床から約70〜140cm)に集める。しゃがまず背伸びせず届く範囲が、いちばん使う場所です。総務省の家計調査でも調理家電は年々増える傾向にあり、将来の家電増加を見込んで一段余らせておくと安心です。暮らし方が変われば、最適なサイズも変わる。だからこそ、置ける幅ではなく使い方から選ぶのです。
A1. 主流は90cm・105cm・120cmの三つです。二人暮らしなら90〜105cm、四人家族以上や家電が多い家庭は120cm前後が目安になります。
A2. 家電を置くなら45cm前後、置かず食器中心ならスリムな40cm前後で足ります。奥行きが深いほど奥の物が取り出しにくくなる点に注意してください。
A3. 収納量はハイタイプが有利ですが、地震時の安全性では上下分割で重心が低い方が安心です。天井との間に固定の余地を残せる設計を選びましょう。
A4. 目安は上5cm・左右各2cm以上の放熱スペースです。オーブン機能付きは発熱が大きいため、取扱説明書の指定寸法を優先してください。
A5. スライドして手前に引き出せるムーブ棚を使えば、蒸気を庫内にこもらせず逃がせます。使うときだけ引き出す運用で、扉や棚板の劣化を抑えられます。
A6. 幅の余裕より収納量と動線が先です。大きくても扉が開けきれなければ使えません。今の収納量の1.2倍を基準に、開けた状態の張り出しも確認してください。
A7. 狭い台所や通路が近い場所は、張り出しゼロの引き戸が有利です。開き戸は全開でき見渡しやすい反面、手前に30〜40cm張り出す点を動線と照らして選びます。
A8. 食器棚は重量物のため固定が基本です。転倒防止金具や上下分割構造、扉の開き止めを組み合わせると安全性が高まります。寝室やキッチン動線上は特に優先してください。
サイズ選びは、数字を一つ決める作業ではありません。あなたの台所と暮らし方に合う物差しを持つこと。その物差しさえあれば、どの店のどの製品を見ても、冷静に判断できます。まずは今日、食器を出して量るところから始めてください。
「収納量は数えたけれど、この幅で本当に足りるか自信がない」。そんな段階の方こそ、実物を見る価値があります。棚板がどこまで動くか、家電を置いたときの高さ、引き戸と開き戸の張り出しの差は、カタログの数字では伝わりません。
家具のフクタケのショールームでは、扉を開け、引き出しを引き、家電の実寸を当てながら、あなたの台所の寸法に合わせて一緒に確認できます。無理に決める必要はありません。持ち帰って測り直したくなったら、それで構わない。判断の物差しを持って帰っていただくことが、私たちの役目です。サイズで迷ったら、どうぞ気軽にご相談ください。
家具選びで後悔しないためには、価格や見た目だけでなく、素材や構造、耐久性、修理のしやすさ、暮らしとの相性まで含めて考えることが大切です。個別の商品を比べても決めきれない方は、まず家具選びの判断基準を全体から整理してみましょう。
▶ 「後悔しない家具選びの理由と構造整理|価格ではなく価値基準で考える全体像」を読む
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価格だけでは分からない品質や構造、身体との相性まで、長く使うことを前提に家具選びをお手伝いします。気になる家具がある方も、何を選べばよいか分からない方も、お気軽にご相談ください。
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