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大塚家具 お家騒動について 

2015年02月26日

家具のフクタケのつぶやき

最近テレビや新聞、ネット上でも何かと話題の大塚家具。

父親と娘のお家騒動を色々と分析をされて原稿を書かれていますが、家具業界から見たらと言う視線で書かれた記事は無いようです。

家具職人9年、家具小売業17年の私なり分析してみます。

今回の騒動は 完全にお客様不在の騒動は、

家具業界がいかに顧客を軽く考えているかを露わにした事態だと私は考えています。

弊社も含めた家具販売店の問題だと捉え、戒めとして重く受けとめています。

 

大塚家具の業績の悪化ですが、

円安による輸入家具の仕入れ価格の高騰によるものが大きいと考えています。

大塚家具のホームページに公開されています、売上高、売上総利益、売上比利益率、輸入品売上高構成比率。

http://www.idc-otsuka.jp/company/ir/zaimu.html

ここで注目したいのが、輸入品売上高構成比率。

2013年度は54%近年の数字も売上の50%を超えています。

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アベノミクスによる急速な円安が大塚家具の売上の54%を占める輸入家具の仕入れ価格の高騰につながっています。

2012年秋の1ドル77円から今日の1ドル118円、利益を圧迫したと考えるのが妥当です。

もしくは、大幅な値上げによる売上の減少が大きいのではないかと推測しています。

もちろん、消費税増税の影響、住宅事情の変化、住宅着工件数の減少もあると思いますが、

それはどこの家具屋も一緒です。

2014年度の数字が出ていないためはっきりした事は言えないですがこの可能性が高いと考えられます。

 

それであれば国産家具メーカーの販売量を増やせば良いと思われるかもしれないですね。

しかし大塚家具はそれが出来ません。

なぜなら国産家具メーカーにけっして良くは思われていないから。

弊社の取扱いのある某有名メーカーの担当営業マンが言っていました。

「大塚家具との口座がようやく無くなりました。色々とご迷惑をおかけしましたが、本当に良かったです」

これは担当営業マンが普段から取引先の悪口を言う非常識な

営業マンではありません。とても礼儀正しい方です。

大塚家具がうたっている市場最低価格保証があります。

これを実行する為「市場の相場より安く見積りをして、実際は自社オリジナルの家具を販売する」

とゆう販売方法の“だし”に使われるだけで、全く売上にならない。

そして、市場の相場を崩してしまい販売店は利益にならない為、展示を外されてしまうなどデメリットしか無かったから。

また大塚家具に一社に売上の多くを依存する国産メーカーも多く、

その多くは大量に販売するが値引きも厳しく利益は薄い。

また展示してヒット商品になると、その図面や実物を海外の工場に送り同じ家具をより安く生産して販売する。

そして、オリジナルを製造するメーカー取引を切られる。

一流の国産家具メーカーも今あげた理由により、新規の取引をしないケースが多いと思います。

すでに口座のあるメーカーでも積極的に販売量は増やそうとはしません。

他にも理由はありますがこの場で伏せておきます。

 

 

もう一つ気になるのが、ホームページでも公開されている

利益率の高さに注目したいですね。

会社を経営して行くうえで利益は大切です。

http://www.idc-otsuka.jp/company/ir/zaimu.html

2013年度 売上総利益 (売上比%) 31,069(55.3)です。

家具販売の利益率としては55%で異常に高いです。

一般の大型店は普通は40%ぐらいでしょうか、フクタケを含めた街の家具屋はもっと低い30%台です。

経営を考えれば利益率は高い方が良いです。

しかし実際に家具を買うお客様からすればどうでしょうか?

高い価格で買った家具の55%が販売店の利益です。

大量仕入れによる仕入れ価格の圧縮、

工場からの直接仕入れだから安いという事を以前はうたっていますが

弊社でも問屋から仕入れはほとんど無く売上の数%しかありません。

それでも一般の家具店から比べてもそこまでの利益率の差が出る程ではありません。

単純にお客様は安い家具を高く買う事になります。

大塚家具へ行かれてから弊社で家具を購入されたお客様が「フクタケさんの方が良い家具があった」

「大塚家具は値段は高いけどピンとくる家具が無かった」といった声を実際に聞くことが多いです。

 

昨年、ケルン国際家具見本市に行った際、

ドイツのデュッセルドルフ大型家具店、ケルンのセレクトショップへ行ってきました。

その時のブログです。ケルン国際家具見本市2014③ドイツの家具屋の視察

ドイツ ケルンのセレクトショップ

そこで見たのが日本の家具店で見たことが無いレベルの高さでした。

一言でいえば「誰が買い物に行っても安心して家具が買える」

何を買ってもはずれが無い、価格に見合った適正な価格で販売されている。

値段が高いだけでなく価格と同等かそれ以上の価値のある家具しかない。

あのレベルの高さは残念ながら日本にはない、もちろん弊社も含めてです。

ドイツでは普通の家庭お客さまがかなり高額なソファを買われているそうです。

この様な品ぞろえなら高価格な家具も売れる、お客様が安心して家具を買えるからです。

 

日本では残念ながらシビアな目利きが出来ないと安心して家具は購入出来ません。

IKEAやニトリが全盛で一般の家具販売店、百貨店の家具売り場も減るばかりです。

これはお客様に出来るだけ高く販売することを続けて来た結果だと私は考えています。

 

今回の顧客不在の大塚家具の御家騒動は家具業界を象徴する出来事だと思います。

お客様に適正な価格で良質な商品を提供することが出来ない体質になってしまった。

弊社も含めた家具販売業界全体が必要以上に高い利益率を求め続けてきた結果です。

消費者が高い家具を買っても仕方がないという家具業界全体へ不信感を招いたから、

家具にお金を掛けなくなってしまった。

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家具の出荷額は60%減、家具小売店は最盛期に比べ売上、店舗数共に半減。

家具業界全体が衰退の一途をたどっています。もちろん住宅事情の変化、住宅の着工減少の影響も大きいです。

住宅着工件数

ただ一つだけ言えるのは、IKEAニトリのせいじゃない。

安い海外製の家具が大量に流入に売れ始めたのはお客様がそれを選んだからです。

家具に高い価値観を見いだせなくなってきたから。

安く仕入れて出来るだけ高く販売する事は企業としては当然です。

その為に大型家具店では自由に値段設定が出来る、オリジナル家具をメーカーに依頼して作ることが多い。

オリジナル家具を作る時は、販売店はまず販売価格と仕入れ価格を決めます。

その時、利益率は通常より高めに設定されているので、メーカーは通常の家具より安く作らなければなりません。

メーカーも企業です、同じように可能な限り高い利益を求めます。

プロパーで生産している家具の工程省いたり、

より安い材料を使ったりと無理なコストダウンをする事で、

家具の品質を落とすしかありません。

販売店の利益を確保する為にお客様は品質の低い家具を高く購入することになります。

例えば、15万円で仕入れたソファを30万円で販売するのと、

20万円の仕入れたソファを30万円で販売する(あくまでも仮定の話です)。

これらは会社を経営して行く上ではどちらが正しいといえば、より多くの利益が残る方が正しい。

しかしこれをソファを実際の買ったお客様の目線でみたらどうでしょうか?

購入価格は同じでもお客様にとってどちらが得かと言うと、原価の高い家具の方が良いに決まっています。

では、もし15万円のソファを30万円で買ったお客様どうでしょか?

当たり前ですが安い分座り心地は良く無い、耐久性は短い、そしてこう考えるようになると思います。

”高い家具を買ったけど、座り心地も良く無いし早くダメになった。高い家具を買っても仕方が無い”

そう考えるのは当たり前です。

ただ人によってはブランドイメージに5万円払って満足されるお客様は見えると思います。

価値観は人それぞれですから否定はしません。

ただ汗水垂らして働いて得たお金で買う家具です、品質にはもっとシビアになってもいい。

こういった経験をされたお客様はきっと高額な家具を買う意味はないと考えて、

ニトリやIKEA、アウトレットの家具屋で家具を買うようになるでしょう。

そして、IKEAやニトリの方はその点良心的です。お客様に品質への過剰な期待を抱かせません。

だから日本ではIKEAが大塚家具を抜き、日本進出わずか7年で647億円の売上高で、これは大塚家具を上回る売上高です。

この事実が、お客様の家具を見抜く目は正しいことが証明されているとおもいます。

あと、ブランドイメージを高めて付加価値を付けて家具を販売するという言葉も耳にしますが、

そもそも家具が工場で完成した時点で家具の価値、品質はすでに決まっています。

その後価値を加えたとしても、絵に書いた餅です。

そうする事で家具をより高く販売することはお客様を欺く事になるはずです。

対面販売にコストがかかるから高い利益率は仕方がないと言われる方もみえるでしょう、

少なくとも弊社は街の家具屋ですが、家具に対する知識と提案力はでは大塚家具には負けません。

私は今の家具業界衰退の原因は高い利益率を求める家具屋の経営方法にあると考えています。

利益率重視の販売方法がお客さまの家具への信頼を失わせてしまった為です。

最古の木造建築物を建立した飛騨の匠の流れを汲む汲む飛騨の家具メーカー、

いまでは世界一の曲木の技術を有します。

日本の家具業界のリーディングカンパニー カンディハウス、

旭川から世界を目指し、ヨーロッパでも一流メーカーとして評価は高い。

他にも素晴らしい家具メーカーが沢山あります。

販売店が原因で日本の素晴らしい家具の良さ伝えることが出来ず、ただ高いだけの家具に思われてしまう。

世界に誇る高い技術力を持つ家具メーカーと

志もなくただただ自社の利益だけを考える家具屋。

残念ながら、このアンバランスな状況が日本の家具業界の現状です。

今の時代のお客様の要望に的確に答えているのがIKEAやニトリでしょう。

2013年度にはニトリは3310億円の売り上げで5位の545億円の大塚家具というこの結果が答えなのではないでしょうか。

 

大塚家具の創業者の会長が社長の時代の1999年から利益率は50%台を維持し続けています。

これではお客様が家具へ対して不信感もっても仕方がありまん。

賢い消費者はすでに気がつき始めています。

今回のお家騒動は業界人としての私の意見は、どちらが社長になっても大塚家具にとってあまり変わらないと思います。

会員制するとかしないとか、入りやすい店するとかそんな問題ではありません。

 

もう少しだけお客様立場にったった販売方法は取れるはずです!

今回はたまたま大塚家具が話題になっただけで

弊社も含め全ての家具販売店の問題だととらえる時期です。

今回の騒動を機に少しでもいい方向に家具業界が向かう事を切に願います。

続きは「大塚家具 父と娘の対立争点は?」

家具のふく岳

小川直樹

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